以下の項目に該当する方は要注意です
- 会社の健康診断で便潜血検査の項目で陽性と指摘された
- 横浜市の大腸がん検診で異常を指摘された
- 便潜血検査で陽性と指摘を受けたがその後の2次検査は受けていない
- 身内に大腸がんと指摘を受けた方がいる
- 横浜市の大腸がん検診をまだ受けていない
上記のような項目に該当する方はお早めにご相談してください。横浜市の大腸がん検診でも便潜血検査が導入されていますが、便潜血検査で異常を指摘された方は消化管内で出血が生じているサインです。当院では『便潜血の専門外来』を行っています。お早めにご相談していただければと思います。
便潜血検査とは
便潜血検査は便の中に血液が混入しているかどうかを確認する検査となります。便潜血検査は便を専用のキットで採取するだけで非常に簡単に行える検査でもあります。そのため、横浜市が行っている大腸がん検診や会社の健康診断等でも広く導入されています。
本来であれば便に血が混入することはありませんので、便潜血検査で陽性と指摘された場合は消化管内で出血している可能性が高く、何かしらの病気が大腸内で生じている可能性があります。そのため、2次検査として大腸カメラ検査で精密検査を受けていただく必要がありますが、便潜血検査で陽性と指摘されたにも関わらずその後の大腸カメラ検査を受けていない方が非常に多くいらっしゃるのが現状です。
この便潜血検査は目に見えない微量の血液の混入も検出可能です。便潜血検査で陽性と指摘された方、便潜血検査で陽性と指摘を受けたがまだその後の2次検査を受けていない方は、お早めにお近くの消化器内科クリニックで大腸カメラを受けて頂きたく思います。
便潜血検査で陽性と指摘されていたが、コロナ禍のため受診控えをしていた方もいらっしゃいました。そういった方の中で最近、進行大腸がんの発見率が高まっているという報告も出ています。
自分自身のことは勿論ですが、ご家族・友人の中で便潜血検査で陽性と指摘された方がいましたら、消化器内科クリニックを受診するようお伝えください。
便潜血検査陽性で疑われる病気
便潜血検査で陽性と指摘された時に考えられる病気の一例を記載しています。
便潜血検査陽性時に疑われる病気
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 大腸憩室出血
- 虚血性大腸炎
- 直腸がん
- 痔
この中でも特に注意をするべき病気が「大腸がん」です。大腸がんは大腸内部の粘膜上に生じる癌です。大腸がんは日本人の部位別での患者数・死亡率をみても男女ともに上位を占めています。
便潜血検査と大腸がん
便潜血検査では「便潜血2日法」が適応されています。便潜血検査の検便キットが2つ入っていますので、任意の2日間でそれぞれのキットで便を採取し、便中に含まれる血液の有無を検査します。
結果によっては「片方のキットでは陽性で、もう片方では陰性」と指摘された方もいらっしゃるかと思いますが、片方だけでも陽性であった場合はお早めにご相談してください。
下記は日本消化器がん学会が公表している「大腸内視鏡検診の成績を用いた，便潜血検査陽性反応適中度推定の シミュレーション」の論文から掲載をしています。
便潜血検査で片方のキットだけ陽性であった場合と両方のキットで陽性を確認できた場合での大腸がんに罹患している確率を現しています。
男女ともに年齢が上がるにつれて便潜血検査で陽性と指摘された際の大腸がんの罹患率は高まっていることが分かります。また、2回とも陽性であった場合は、片方のキットだけで陽性反応を確認した時と比べて大腸がんの罹患率は非常に高くなります。
下図は便潜血検査で陽性と指摘された際の大腸腺腫（大腸ポリープ）の有無を示しています。こちらも日本消化器がん学会が公表している「大腸内視鏡検診の成績を用いた，便潜血検査陽性反応適中度推定の シミュレーション」の論文から掲載をしています。
大腸ポリープは成長して大きくなるにつれて、大腸がんへと癌化していきます。便潜血検査で片方のキットだけ陽性反応が確認された場合でも、両方のキットで陽性反応が確認された場合でも、大腸内にポリープがある可能性が非常に高いことが分かります。
大腸がんは近年死亡率が増加していますが、早期発見・早期治療が行えると根治を目指せる病気でもあります。大腸がんの根治を目指していくにあたっては前癌病変である大腸ポリープをしっかりと取り除くことになります。
便潜血検査で陽性と指摘された方は必ず、お近くの消化器内科クリニックで大腸カメラ検査を受けるようにしてください。
便潜血陽性は大腸カメラ検査を
便潜血検査で陽性と指摘を受けましたら大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気が生じていないか確認する必要がありますので「大腸カメラ検査」を受けるようにしてください。
大腸カメラ検査では専用のスコープを挿入し、大腸粘膜全域の観察ができる検査です。当院では大腸カメラ検査を快適に受けていただけるように様々な工夫を行っております。
- 鎮静剤で眠って楽に受けられる大腸カメラ検査
- 苦痛を抑えた挿入法（軸保持短縮法）を実施
- 検査後のお腹の張りを抑えるために二酸化炭素ガスを使用
- オリンパス社の最新の内視鏡システムを導入
- 日帰り大腸ポリープ切除を実施
- 普段忙しい方でも検査が受けられるように土曜日にも大腸カメラ検査を実施
- WEBから大腸カメラ検査の予約が可能
便潜血検査で陰性と指摘を受けた方へ
上述しているように便潜血検査は大腸がんの早期発見に有効ですが、便潜血検査の検査精度は必ずしも正しいとは限りません。腸管内で出血をしていても、便潜血検査では陰性と指摘される場合もあります。
便潜血検査で陰性と指摘されたとしても決して安心せず、お腹の違和感、腹痛、便通異常（下痢・便秘・血便）、便が細長くなったなどの気になる症状がみられましたら、必ず消化器内科クリニックまでご相談してください。実際に、便潜血検査で『陰性』と指摘を受けていた方の中で、お腹の違和感を感じて大腸カメラ検査を受診したら、進行した大腸がんが発見されたケースもあります。
お問合せ
当院では消化器専門外来を行っており、便潜血検査で陽性と指摘を受けた方に大腸カメラ検査を行っています。便潜血陽性と指摘を受けた方は特に体調面に違和感を感じていなくても2次検査を受けていただければと思います。
よくある質問
便潜血検査の2日法で1回だけ陽性と指摘されたらどうなりますか？
便潜血検査で2回のうち1回だけでも陽性（異常あり）と指摘をされた場合は、腸管内で出血している可能性がありますので精密検査（内視鏡検査）を受けていただくことを推奨しています。
1回だけ陽性と診断されたとしても上述していますが、大腸がんの可能性は十分に考えられます。決して軽視せず、便潜血検査で異常を指摘された場合はお早めにご相談してください。
便潜血検査の費用はいくらですか？
便潜血検査の費用は医療施設ごとで費用が異なります。当院では便潜血検査の費用が1,200円（税込）となります。ご希望の方はお気軽にお申し付けください。
便潜血検査は何年おきで受診したらいいですか？
横浜市では毎年大腸がん検診を実施していますが、その検査項目は便潜血検査となります。大腸がん検診は毎年実施しています。人の身体も日に日に変わっていきますので、可能であれば便潜血検査は毎年受診していただき、ご自身の健康管理を意識して欲しく思います。
文責：保土ヶ谷あだちクリニック 院長 足立清太郎
